岡島一正

Kazumasa Okajima

岡島一正 (立憲民主党 千葉3区)公式ホームページ

お知らせ

天皇陛下生前御退位のニュースを読み解く

天皇制

昨夜、ニュース速報が出された。内容は地震や災害、台風、事件等ではなく天皇陛下生前御退位についてだった。

速報は天皇陛下が生前御退位の意向を宮内庁関係者に漏らされたという話を政府関係者が話しているという内容。

そして今朝はどのニュース、ワイドショーも天皇陛下について時間を割いて企画や特集を組んで流し続けている。

僕は天皇陛下の生前御退位のご意向という情報が何故、今、政府関係者から出されたのかを推察せざるを得ない。

僕も20年間、マスコミにいたが、ニュースで政府関係者を使う場合、それは官房副長官や首相秘書官らを意味する。

つまり、今回の天皇陛下御退位に関する情報は安倍総理官邸が何らかの意図を持って流したと考えることが出来る。

僕が何か意図をもってと書いたのは発信元がボカされた上に、このニュースを宮内庁は即座に否定しているからだ。

宮内庁が否定している情報にも関わらずどのニュースも陛下の退位のご意向を確認したかのように制作されている。

国民の象徴たる天皇陛下の御退位という重大情報について陛下御本人の言葉もないままに二次情報で流している。

しかも宮内庁は否定した。もし、これが誤報だったらどうなるのか。象徴天皇陛下の尊厳を傷つける事になるのだ。

僕は昭和天皇が闘病されていた昭和64年当時、昭和天皇がいつ崩御されるかもしれないと皇居で張り番をしていた。

陛下の崩御に関する情報に一分の間違いもあってはならないと報道現場一体となって慎重に確実な取材をしていた。

当時は官邸や宮内庁から二次情報があっても報道各社は公式な発表のない情報は流さなかった。今回は様相が違う。

今朝の報道の殆どが宮内庁は今回の情報を否定している事すら報じる事なく御退位の意向を確認したかの扱いだ。

マスコミが冷静さを失い不遜とも言える対応をしてしまっているように映る。何かに操られているかにもみえるだ。

今回の情報で留意しなければならないのは情報が官邸筋から出て宮内庁は否定している事。また、出された時期だ。

総理官邸が情報を会見でなくリークという形でマスコミに流すのは全て政権運営上の意図があるからに他ならない。

では、どんな意図があるのだろうか。まず、僕が指摘したいのは都知事選挙への関心を薄める狙いがあるのだろう。

参議院選挙でも起きていた事だが参議院選挙で野党統一への関心が高まりを見せると小池百合子氏の出馬があった。

参議院選挙終盤での小池百合子氏の出馬は小池の乱として国民の関心を参議院選挙から逸らす役割を果たしていた。

マスコミが意図したものでなくとも小池氏の巧緻な戦略と官邸の意図が重なって、参議院選の争点はボカされた。

今回の天皇陛下御退位の意向の情報も昨日、野党統一候補が鳥越俊太郎氏に確定するのと時同じく唐突に流された。

もし、これが宮内庁からの正式発表であったり天皇陛下ご自身のお言葉で明らかにされたのなら僕は素直に信じる。

しかし、情報の出方がおかしすぎるのだ。もし天皇陛下の御退位のニュースが誤報なら報道の責任者のクビは飛ぶ。

宮内庁が否定するような情報を官邸筋からの二次情報だけで確定したかにニュースにするなど通常ありえない事だ。

とすると、今回の情報は官房副長官らだけではなく総理もうちうちに宮内庁から受けている情報と読む事も出来る。

しかし宮内庁は直ちに否定した。つまりは今回は陛下、宮内庁を飛ばして官邸が意図をもってリークしたと読める。

その意図とは、都知事選挙への関心逸らし、そして憲法改正に向けた安倍総理の強引な必然性作りの策略と思える。

今日からの都知事選で自公は分裂選挙。一方で野党統一候補には総理ら官邸が恐れていた鳥越俊太郎氏が決まった。

このタイミングで宮内庁を差し置いて陛下の退位のご意向を不遜にも官邸が流した事は余りにも許しがたい事だ。

そして憲法改正との絡みもある。皇室典範には天皇陛下の退位に関する規定がない。憲法にも記されてはいない。

今朝の各社の報道にあるように天皇陛下の生前御退位は皇室典範の改正、ひいては憲法改正にまで関わる事もある。

僕の私見では情報が本当だとしても陛下ご自身は皇室典範はともかく総理の憲法改正を望んでいるとは思えない。

常に平和を訴えて来た陛下は元気な内に皇太子様が平和への発信を継承されるのを見届けたいご意向なのだと思う。

陛下が真に生前御退位のご意向だとするならば、そのお気持ちは現行憲法の下の平和理念継承こそ真意だと思える。

あくまでも僕の私見に過ぎない。しかし総理官邸が何らかの意図の下で今、平成最大のテーマを流したのは事実だ。

僕たち国民も報道現場もニュースの公正中立を前提としている。しかし権力者はその思いを利用しようとするのだ。

今回の陛下のニュースについて僕の見方が正しいかは分からないが、僕は国民にこうした視点を持って欲しいのだ。